カープのお膝元に阪神グッズ自販機を設置した理由 広島駅近くに「虎グッズ自販機」売れ行きは驚きの8対2
「カープの街」広島に、阪神グッズの自動販売機(自販機)が置かれている。広島駅近くのビル前にある黄色と黒を基調にした自販機。同じ敷地内にはカープのグッズ自販機もあるが、意外にも売れ行きは阪神が優勢。ライバル球団のお膝元で、なぜ虎グッズが売れるのか-。
自販機を管理するのは、広島県内で飲料自販機などを扱うダイイチコーヒー株式会社。仕掛け人の柳楽静志代表取締役によると、設置したのは今年3月末。同社にとってグッズを販売する自販機設置は初めての試みだった。
きっかけは、同業者がプロ野球などのグッズを扱う自販機を展開していたこと。「どれをつけようかなということで、阪神とカープでいきましょうかと」。地元球団のカープだけでなく、あえて阪神を選んだ。
広島の街を歩けば至るところでカープグッズを目にする。そんな土地でライバル球団の商品を売ることに抵抗はなかったのだろうか。
「抵抗はなかったですね。平等だと思うんですよ。逆に関西でカープの自販機を置いた方が売れると思います」
そこには「本拠地ではないからこそ」という発想がある。広島ではカープグッズを購入できる場所が多い。一方、阪神グッズを手軽に買える場所は限られる。マツダスタジアムで阪神戦が行われる日には関西などから多くの虎党が訪れ、広島在住の阪神ファンもいる。
「阪神戦は他の球団と比べても(ファンが)絶対いらっしゃるなと思って。転勤などで広島に移り住んだ阪神ファンもいると思うんです」
その読みは売れ行きにも表れている。同じビルの敷地内に置くカープと阪神のグッズ自販機。どちらが売れているのか尋ねると、「8対2ぐらいじゃないですか」。もちろん「8」が阪神だ。
カープの自販機も通常のグッズ売り場にはないオリジナル商品を扱う。それでも阪神が上回る背景には、広島では簡単に手に入らないという「希少性」もありそうだ。
商品も入れ替わる。当初はキーホルダーとステッカーのセットを販売していたが、売り切れたため、現在は「ミニカンフーバット」などの応援セットに変更。柳楽代表によると、同様の阪神グッズ自販機は大阪や高知など全国に約30台あるという。
そして興味深いのは、「虎の自販機」を仕掛けた柳楽代表自身が阪神ファンではないことだ。
「野球はカープです」
地元球団を応援しながら、商売となれば話は別。カープ一色に見える広島にも虎党はいる。ならば、その人たちが欲しいものを置けばいい。今後、広島で阪神グッズ自販機を増やすかは「今のところ未定」という。
赤く染まる広島の街に立つ、黄色と黒の自販機。カープのお膝元で阪神グッズが売れる「8対2」という数字は、広島にいて静かに連覇を願う虎党の存在を物語っている。(デイリースポーツ・岩本 隆)
