津田健次郎 声優&俳優で活躍の55歳“イケオジ” 半生を支えてきた恩師の言葉「生きなさい」  

[ 2026年11月1日 05:29 ]

白衣を着てポーズを決める津田健次郎
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 声優と俳優の両方で作品に引っ張りだこの津田健次郎(55)。渋みのある色気をまとい、観察眼の鋭い刑事やスゴ腕の外科医、歌って踊る料理系ユーチューバーまで、どんな役でも自分のものにしている。表現者としての半生を支えてきたのは、俳優養成所時代に恩師から授かった「生きなさい」という言葉だった。 (糸賀 日向子)

  役衣装の白衣を着てりりしい表情でカメラのレンズを見つめる。フワフワな髪の毛の間からのぞく目尻のシワ。ヒゲを蓄えているのに、どことなく漂う清潔感。その姿はまさに“イケオジ”。「イケオジだと思うか」と聞くと、「思うわけないじゃないですか!」と一気に目を細める。そのギャップが魅力的だ。

 中学時代に旧作を中心に上映する名画座に通い詰め、映画監督を志した。「単純に本当に映画が好きでハマっていた。作るのが面白そう」と明大文学部に入学し演劇学を専攻した。ただ、思い描いたキャンパスライフにはならなかった。表現したい欲はあるのに「脚本が一文字も書けず、悶々(もんもん)とした状況が1、2年続いていた」。

 状況を打開すべく、足を踏み入れたのが「円・演劇研究所」だった。渡辺謙や豊川悦司らの名優を輩出した名門。「役者の勉強をしたら、映画を作る際に役に立つかなと思ったんです。それでフラッと選考を受けたら受かっちゃいました。本当に気の迷いです」。舞台を観劇したこともない素人のこの行動が、今日まで続く俳優人生のスタートとなった。

 そこで出会ったのが恩師のF先生。「熱量の高い先生で、一歩目としての出会いは凄く良かった。うまくやれ、ということではなく、演技としてどう生きるかを重要視している方でした」と回想する。

 演技の方法論を教わることは一度もなかった。その代わり、2年間、口酸っぱく言われ続けたのが「生きなさい」という言葉。その意味を深掘りし、「手を抜かないとか、逃げないとか、やった気にならないとか。いろんなことが集約されていく言葉」と自分なりの答えを見つけた。

 この言葉は、演技をする上でさまざまなことに当てはまるといい、30年以上たった今でも指針となっている。役に向き合う時には、「ギリギリなところを行った方が、うまくいった時の面白さも大きく、色濃い」。壁が高くても、果敢に挑む姿勢を貫いている。

 95年に声優デビューし、多くのアニメやナレーションを担当。近年は俳優としても活躍が目覚ましく、今年は地上波連ドラで初主演を果たした。“二刀流”と称されることもあるが「芝居をするという意味では一緒。作品ごとにアプローチが変わるというイメージで、あまり意識していない」と作品に向き合う姿勢はいつも同じだ。

 55歳、円熟の時を迎えているが「今後も芝居を深めていきたい」と演じることへの渇望は尽きない。一つのことを突き詰めるタイプではないが「こと芝居に関してはずっとやらせてもらっている。芝居が難しいんでしょうね、だからできるようになりたい」とはにかんだ。今も日々「生きなさい」の精神で芝居を考え、初心に立ち返り続ける。

 「“芝居って何だろう、どうすれば芝居の純度が高まるのか”と考えることをずっと繰り返している。俺まだここにいるのかと、ほとほと嫌になる。でも、らせん階段のように上からだと円を描いて同じところに戻っているように見えても、横から見たときに上り続けているといいなと思いますね」。日進月歩で表現者としての道を進んでいく。

 ◇津田 健次郎(つだ・けんじろう)1971年(昭46)6月11日生まれ、大阪府出身の55歳。声優として「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」「ゴールデンカムイ」、俳優としてNHK連続テレビ小説「あんぱん」、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」などに出演。趣味はカメラ、バイク。血液型O。

 《テレ朝「アナログナース」 人間の葛藤「丁寧に」》
 出演中のテレビ朝日「アナログナース」(木曜後9・00)は「ドクターX」「ザ・トラベルナース」と世界線が交差する3部作の集大成。「コメディータッチな部分もあり、人間ドラマもしっかり入っている」とその魅力を語る。デジタル化が進む病院に勤めているが、デジタルにうまく対応できないスゴ腕の外科医を演じる。「医療の現場でもアナログとデジタルの転換期で、人間のある種葛藤がある。形は違えど、生きているといろんな葛藤がある。そこを丁寧に演じたい」と語った。

 

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