限りなく白く、まだ見えない場所で根を張る7人 ファンと育てる「青春の種」の行方
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【推し面 限りなく白く編集後記】出会いは、白い光の中ではなかった。
東京・表参道にあるライブハウスの階段だった。取材班が最初に目にしたメンバーは、階段に顔を伏せたまま動けなくなっていた。二葉優莉愛。衣装の一部である襟を忘れたと聞いた。顔色は、グループ名の白を通り越して、蒼白に近かった。
こちらが名刺を差し出すより先に、二葉の一日はすでに事件になっていた。
けれど、今になって思う。このグループを知る入口として、あれ以上に忘れがたい場面はなかったのかもしれない。整えられた笑顔でも、完璧な自己紹介でもない。失敗を繰り返し、自己嫌悪に沈み、階段に額を押しつける一人の人間。北海道にある、820キロ離れた家から、襟だけを何とか持ってこられないかと必死にもがく姿。限りなく白くの連載は、そこから始まった。
インタビューは大丈夫だろうか。正直、そんな不安もあった。だが、取材が始まると、余計な心配はすぐにほどけた。7人はそれぞれの速度で、こちらの問いに向き合った。すぐに言葉が出る者もいれば、少し視線を泳がせてから答える者もいた。短い言葉の奥に、長く抱えてきた時間がにじむ瞬間もあった。
1日1人3部作。楽曲、グループ、人生。光の当たる場所だけでなく、言葉の前にある沈黙まで拾いたかった。
配信をすべて終えた今、改めて思う。
7人もまた、種なのだ。
限りなく白くの楽曲には、「空」や「雪」や「星」のように、聴いた瞬間にきらめく情景が浮かぶタイトルがある。見上げればそこにあるもの。触れられなくても、目に映るもの。グループ名の透明感とも響き合う、美しい言葉たちだ。
しかし、満を持してのCD全国デビュー作は「青春の種」。まだ芽吹いてもいない。花でもない。実でもない。土の中に埋まっていて、表面からは見えない。
記念すべき一枚なら、もっと華やかな言葉を選ぶこともできたかもしれない。咲く、輝く、羽ばたく、照らす。アイドルのデビュー作には、そうしたきらめいた言葉がよく似合う。けれど、限りなく白くが差し出したのは、まだ誰の目にも完成形を見せていない「種」だった。
その控えめさが、7人と重なった。
メンバーたちは何度も「楽屋は静か」と口にした。大声で空気を支配するグループではない。前へ前へと押し出してくる熱量とも少し違う。言葉を選び、互いの呼吸を見ながら、そっと居場所を分け合っているような静けさがあった。
だが、静かなことと、何もないことは違う。
土の中は、外から見ればただの沈黙に見える。けれど、そこでは根が伸びる。光に届く前の時間がある。誰にも見えない場所で、芽を出すための準備が進んでいる。
なぜ、種だったのか。その答えを出そうと思えば、いくらでも言葉を並べることはできる。青春の始まりだから。未来への希望だから。成長の象徴だから。どれも間違いではないのだろう。
でも、7人すべての記事を配信し終え、限りなく白くというグループについて改めて考えた今は、少し違うところに立っている。
答えはなくていい。
そう思わせてくれたのは、メンバーだけではない。朝から夜まで、Xに毎記事の感想を投稿してくれるファンがいた。長い言葉で思いをつづる人がいた。短い一文で読んだ証を残す人がいた。メンバーの投稿を欠かさず拡散する人がいた。
顔は見えない。でも、その熱は伝わった。YouTubeのMV再生回数が伸びるたびに、ファンは、「次は20万回だ」「25万回を突破した」と喜ぶ。数字そのものより、その数字を一緒に見ている時間が温かかった。
ファンは、ただ見ているだけではない。メンバーも、ただ届けられるのを待っているだけではない。それぞれの場所から、ひとつの種に水をやっている。
CDジャケットのような真っ白な花を咲かせるのか。経験を重ね、思いもよらない彩りを見せるのか。それはまだ分からない。
分からないから、目を離せない。
最初に見たのは、階段に伏せた一人の背中だった。そこから始まった連載の終わりに、取材班の手元に残っているのは、完成された物語ではない。プロローグの手触りである。
なぜ「種」だったのか。
その答えは、今ここで決めなくていい。これから根を張る時間がある。芽吹く朝がある。思いがけない雨も、強い風もあるだろう。
限りなく白くが蒔いた青春の種。北海道から全国へ。厳しくも豊かな北の大地の中で過ごした時間を知っているのなら、その花はきっと簡単には折れない。
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