「諦めて捨てた日々」を越えて――限りなく白く・藍沢未羽 3台の吸入器、そして…回り道を「説得力」へと変えた魂のハイトーン

[ 2026年6月10日 08:00 ]

【画像・写真1枚目】「諦めて捨てた日々」を越えて――限りなく白く・藍沢未羽 3台の吸入器、そして…回り道を「説得力」へと変えた魂のハイトーン
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 北海道を拠点に活動するアイドルグループ「限りなく白く」が、初の全国流通盤シングル「青春の種」をリリースした。デビュー時からの悲願を達成した今、インタビューに応じた藍沢未羽が真っ直ぐに語ってくれたのは、新曲に刻まれた“あるフレーズ”と自身の人生との深い重なり合いについて。一度は夢を置き去りにし、社会の荒波に揉まれていたからこそ宿る不退転の覚悟を、柔らかな言葉の奥ににじませる。(「推し面」取材班)

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 「CDを出すこと自体が、デビューした時からの夢だったんです」

 そう振り返る背景には、かつて東京で暮らしていた頃、棚を見上げていた懐かしいCDショップの光景がある。あの憧れの店舗は時代の波とともに姿を消してしまったけれど、デジタル全盛の今だからこそ、形となって全国に並ぶ作品を手に取ってくれるファンの温かさが真っ直ぐに胸に響く。

 そんな節目の作品の中で、ひと際強い愛着を寄せているのが、サビに登場する「♪叶えたくて諦めて捨てた日々に答えはなくていい」というフレーズだ。実はステージに立つ前は、一般企業で働く会社員だった。ずっとアイドルになりたかったけれど、なれないまま就職し、まさに歌詞の通り「諦めて捨てた日々」を過ごしてきた。

 そんな過去に対して「『答えはなくていい』と優しく包み込んでくれるこの歌詞がすごく好きで、携帯に送られてきた歌詞を初めて見た時は泣いてしまいました」。かつての葛藤や回り道すらも肯定してくれる今作は、今や自身を支える最大の応援歌となっている。

 ライブでのパフォーマンスに目を向けると、ライブアイドルならではの泥臭い勝負勘とプロ意識がのぞく。リリースイベントなどで立つ店舗のステージはとにかく狭いが、イントロでは視線を交わさず、感覚だけを頼りにお互いが華麗に交差する。「ぶつかったり音が鳴ったりしないような身のこなしになっているので、そこを見てほしいです。ぶつからないか緊張するんですが、顔には出さずにパフォーマンスしています(笑い)」。

 涼しげな表情の裏で研ぎ澄まされる集中力。終盤に向けてソロパートがつながり、ラスサビで7人のユニゾンが一気に弾ける瞬間を「ぶわっと花が咲くような感覚」と表現する。中でも、自身の武器である突き抜けるような高音パートや、「♪大丈夫必ず息吹は吹き込まれていく」のフレーズには、迷いを断ち切った表現者としてのプライドがにじむ。

 しかし、武器でもあるその圧倒的なハイトーンは、決して天賦の才だけで維持されているわけではない。実はグループ内で「一番喉が弱くて」と明かすように、1年目は大事なステージで何度も喉を潰す悔しさを味わった。その逆境が、職人肌な一面を呼び覚ます。
 
 今では、不調に合わせて何種類もの漢方を使い分け、海外から取り寄せたマヌカハニーを常備。自宅には3台の水蒸気吸入器が並び、用途ごとに稼働させている。「『薬局が開けるんじゃないか』ってくらい持っています。生活用品にはあまりお金をかけないタイプなんですが、喉のケアには惜しまず投資しています」。華やかなスポットライトの裏側にあるのは、徹底して己を管理するプロとしての執念だ。

 一度は夢を諦め、回り道をしたからこそ、その歌声には聴く者の心を揺さぶる説得力が宿る。「青春の種」は今、北の大地から全国へと撒かれた。二度と手放さないと決めたマイクを握りしめ、覚悟を乗せた高音が今日も誰かのくすぶる心に優しい息吹を吹き込んでいく。

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