計算を投げ出し、北の大地へ飛び込んだ――限りなく白く・藍沢未羽 挫折を超えて誓う「自分にできること」

[ 2026年6月10日 20:45 ]

【画像・写真3枚目】「諦めて捨てた日々」を越えて――限りなく白く・藍沢未羽 3台の吸入器、そして…回り道を「説得力」へと変えた魂のハイトーン
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 北海道発のアイドルグループ「限りなく白く」の藍沢未羽。物心がつく前からの夢を一度は諦め、社会人として過ごす中で胸に突き刺さったのは、憧れのグループが遺した一節だった。将来への不安から逃げ出してしまった悔しさをバネに、縁もゆかりもない北の大地へと飛び込んだ一人の表現者が、挫折の先で見つけた本当の居場所と不退転の覚悟を明かす。(「推し面」取材班)

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 物心がつく前、まるでお腹の中にいる時から好きだったんじゃないかというくらい、ずっとアイドルに憧れて生きてきた。歌や踊りで自分を表現することが好きで、気づいた時には将来の夢はそれしかなかったという。しかし、現実は甘くはなかった。親に隠れてオーディションに応募し続けるも、結果はいつも書類審査での落選。届かない夢に一度は区切りをつけ、スーツを着て一般企業で働く道を選んだ。

 そんな日常の中で、今でも忘れられない後悔がある。活動期間が3年限定というアイドルグループ「tipToe.」のオーディションが開催されたときのことだ。「3年経ったらどうすればいいのか…」。その先の人生を考えては計算ばかりが頭を巡り、結局、書類を送ることすらできずにチャンスを逃してしまった。かつて味わった重い後悔。そんな悶々とした日々のなか、耳に飛び込んできたのが〈計算なんて投げ出して叫んでしまえばいい〉という、あのグループの楽曲のフレーズだった。

 魂を揺さぶるような言葉に背中を押され、「もし次に受けたいと思える場所に出合ったら、絶対に逃げない」と心に誓った。

 固い決意を胸に秘め、ついに出合ったのが「かぎしろ」。当時は東京に住んでいたが、縁もゆかりもない北海道へ行くことに迷いは全くなかった。

 「運命的なものを感じた」と振り返る決断。熊本、東京を経て現在は移住した札幌の街に身を置き、「一番自分に合っている。散歩をしているだけで自然とパワーをもらえる」と、穏やかな笑顔を見せる。

 遠回りをしたからこそ、ステージに立てる喜びを誰よりもかみ締めている。しかし、活動が常に順風満帆だったわけではない。思うように自分を表現できず、「輝けていないのではないか」と一人で孤独を抱え込んだ時期があった。まるで全人類に嫌われているような錯覚さえ覚える暗闇の中、救い上げてくれたのはファンの優しい一言だった。

 「俺の中では未羽さんが一番輝いてるんだけど」

 その言葉は、凍りついていた心を溶かすほどの衝撃だった。「私のことを好きな人は、私を一番に見てくれている。だから大丈夫って思えるようになったんです」。いまも胸の奥で大切に保管されている、宝物のような記憶だ。

 かつて夢を置き去りにし、計算ばかりしていた姿はもうない。座右の銘を尋ねると、「自分にできることを全部やる」という真っ直ぐで力強い答えが返ってきた。

 この夏は「関ケ原唄姫合戦」や地元の大型野外フェス「安平フェス」をはじめ、様々な土地の舞台に立つ予定だ。「同じ曲でも、その時、その場所によって響き方が違うと思うんです」。かつて人生の計算書を破り捨てたあの日のように目の前の全力に全てを注ぐ。その実直なまでのひたむきさが、ステージの空気を震わせる。

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