韓国人演出家のキム・ジョン氏が都内で講座 歩く、立つなどの動きで個性を磨く

[ 2026年8月6日 14:00 ]

ワークショップを行ったキム・ジョン氏(後列右から3人目)と参加した俳優ら
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 韓国演劇界で活躍する演出家のキム・ジョン氏(42)が4日、東京・青年座の稽古場で「キム・ジョン演劇ワークショップ2026」の発表会に出席した。

 ワークショップは、「日本劇団協議会」が、日本の演劇人を育てるプロジェクト「新進演劇人育成講座」の一環として開催。キム氏の講座は昨年に続き2度目で、7月末から演劇経験を持つ俳優を対象に行われた。

 「身体を通して自分の新たな舞台言語を創ること」をテーマに、7月末の初日は歩き方のクセをとるため、丹田(下腹部内部の奥にある身体の中心)を意識して歩く、止まるなどの動作を練習。

 レッスンを重ねた4日は、参加した20~60代の俳優13人が、テキストとして与えられたウィリアム・シェイクスピアの戯曲「マクベス」を観客に披露した。

 参加した20代の女性は「初日は筋肉痛になるほど、たくさん歩きましたが、積み重ねた訓練によって身体が創られていくことを知りました。そして今日皆さんの前で演じてみて、それは役の感情に向けて身体を作る時間だったのだと気づきました」と充実した表情を見せていた。

 ジョン氏は、俳優と向き合った7日間について「純粋なエネルギーを感じられる時間で、きょう皆さんが幸せそうに演技をする姿を見て、僕も幸せだなと感じました。受け取ったものを、僕自身の創作のインスピレーションにしたい」と話していた。

 またセリフを口にする前に、徹底して行う「歩く」、「立つ」「叫ぶ」などの動きについては、「その俳優が持っている長所や、短所が分かる」といい、クセを見た上で、その役者の個性を生かす方法を考えて行くそう。

 「知らないうちに身についてしまったクセを取り払うことで、自分の本当の個性に出会うことができる」と話していた。

 身体作りを大切にする自身のレッスンが生まれた背景には、劇団が閉鎖するなど、俳優らを養成する場所が減っていることへの危機感もあった。

 「昔は劇団を代表する作品や、そこで育った看板俳優の存在がありました。劇団が減少しているいま、そうではなくなり、韓国の演劇は身体表現よりもセリフに頼った作品が多くなったと感じています」とコメント。商業的なものを追い求めていく中では、「役者の技術ではなく、その人の外側の魅力だけが消費されることもある」と顔を曇らせていた。

 ◇  ◇  ◇

 ジョン氏は、古典の名作を、現代的な視点で読み解き、現代人が抱える「不安」や「孤独」を描き出す手法が高く評価されている。
 9日~31日には、韓国・ソウルにある「チケットリンク1975劇場」で、アントン・チェーホフの名作「かもめ(The Seagull)」を上演。韓国ドラマ「賢い医師生活」に出演した女優のチョン・ミド(44)らが出演する。

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