阪神春季キャンプ最終日の2月25日、沖縄は雨だった。青空が広がっていたなら、沖縄を離れるのは寂しかった。雨のおかげで、気持ちに区切りをつけることができた。

宜野座から那覇空港に向かう途中、中城のサービスエリアでアイスクリームを食べた。前にも、後輩の虎番キャップと景色を見ながらアイスを食べたな、とつぶやいたら、今のサブキャップが中城の風景をパチリ。元虎番キャップにその写真を送ったら「そんなこともありましたかねえ」とのんきな返事が来た。キャンプの思い出はつきない。

チームが芽吹きを待つ新戦力が、課題と向き合った。その1人が、同23日のオープン戦・日本ハム戦(名護)で投げた今朝丸。3回から登板し、4回も続投して相手主砲のレイエスを空振り三振に。まず速球を見せ、101キロのカーブを決め球に使った。快速球を投げ込んだかと思えば100キロ台の超スローカーブで甲子園をわかせていた報徳学園(兵庫)時代を思い出した。懐かしさとともに、阪神で1年を過ごしてここまで来たかと思った。

4回の先頭がレイエスだったこともあり、3回1イニングの予定を伸ばしたのは藤川監督の意向。「この経験をね、覚えてるでしょうから」と監督は狙いを明かした。リードした伏見は、レイエスとの対戦について「タイトル取るような選手と対戦して三振取ったっていうのは本人は自信になると思うし、そういう舞台でやりたいっていうふうに思ってもらえたらいいんじゃないですか」と語った。

25年パの2冠王と向き合う緊張感の中、投手の本能を目覚めさせ、全力で打ち取る。舞台のレベルが上がれば、自分が気づいていなかった能力を知る日も来る。結果に至る過程こそ、チームに芽生えた才能の成長を促す慈雨になる。今キャンプの忘れられない1日だった。【堀まどか】

日本ハム対阪神 4回裏日本ハム無死、三振するレイエス。投手は今朝丸(撮影・上田博志)
日本ハム対阪神 4回裏日本ハム無死、三振するレイエス。投手は今朝丸(撮影・上田博志)