阪神2年目の嶋村麟士朗捕手(22)が2桁背番号に昇格した。支配下選手契約が発表された11日はチーム内が祝福ムードに包まれた。一方で記者は福島圭音外野手(24)を頭に浮かべた。彼もまた育成選手だ。
うれしい話も、苦しかった話も、飾り気のない自分の言葉で表現できる選手だ。刺激、焦り、嫉妬心…。さまざまな反応を想像したが、まず口にしたのは後輩への祝福だった。
「リンは入ってきた時からすごかったし、オープン戦でもあれだけ結果を出している。すごく練習するし、真面目だし、強い気持ちも持っている。本当、素直にすごいなと思います。リスペクトもしています」
入団は福島が1年先。昨年は嶋村と同期の工藤と早川も支配下契約を勝ち取った。ポジションは違うが、福島はあとから入団した3人に先を越された格好になる。昨年はウエスタン・リーグの盗塁王に輝くなど、順調に成長を続けてきた。常に昇格候補の筆頭格と注目されてきた。育成選手は入団3年を終えると、自動的に自由契約になる。節目のシーズンともいえる。
「自分は3年目で、もう勝負の年ですから。でもまだ(支配下に)なれないって決まったわけじゃない。自分のやるべきことをしっかりやっていきたい、という気持ちが今は本当に強いです。こうやって上にも呼んでもらって、すごくいい経験をさせてもらっている。それを『いい経験』で終わらせず、しっかり自分でつかみ取ることを目標に、今はやっています」
坂本、佐藤、森下がWBCで抜けているこの春、若手のアピールチャンスは広がった。福島も韓国代表、日本代表との試合に同行。甲子園でのオープン戦全5試合のうち4試合でベンチ入り。1軍首脳陣の前でプレーする場を与えられた。70人の支配下選手枠は残り4に減った。「開幕までに、という気持ちは変わらない」かを聞くと、落ち着いた口ぶりで返した。
「はい。そういう気持ちはありますけど、僕はすごい空回りするタイプなので。気持ちを強く持ちすぎたら良くない方向に行ってしまう。それは1年目、2年目でよく分かりました。何を求められているのかは、しっかり感じられるようになりました。でも自分に余裕は持っちゃダメ。そこは切り替えというか、信念をちゃんと持っておくことが大事だと思います」
競争の厳しさは嫌というほど知っている。「やるべきこと」は明確。周囲に何があっても、自分のスキルアップだけに集中していることがダイレクトに伝わってきた。【阪神担当・柏原誠】
◆福島圭音(ふくしま・けいん)2001年(平13)10月6日生まれ、埼玉県出身。聖望学園では甲子園出場なし。白鴎大4年春に関甲新学生リーグ新記録のシーズン20盗塁など大活躍。23年育成ドラフト2位で阪神入り。2軍で24年は110試合、25年は111試合出場でリーグ最多33盗塁。171センチ、69キロ。右投げ左打ち。名前は母が俳優ケイン・コスギのファンだったことが由来。




