投手から打者への転向に挑戦している阪神西純矢選手がオフのイベントで子どもたちと野球をし、快打を放ったというニュースがありました。ほのぼのするやん、と感じると同時に思い出したことがあります。
オリックス・ブルーウェーブを担当していた98年2月の宮古島キャンプ。27年も前のことで若い人は知らないかもしれませんが、当時、オリックスは沖縄の宮古島で春季キャンプを張っていました。
そのキャンプ休日を控えたある日。当時のオリックス監督・仰木彬さんが担当記者にこんな提案をしてきたのです。「次の休み、野球やるか?」。サブグラウンドで草野球をしようということでした。
プロ経験者相手に“草野球”というのもおかしいのですが当時のオリックスのキャンプでは、たまにスタッフと記者が野球をし、交流することがありました。オリックス側の投手はオーナーだった宮内義彦氏が務めることもあったほど。サウスポーでした。
その日、宮内氏は参加していませんでしたが仰木さんはある人物を連れてきました。当時の投手だった五島裕二氏です。オリックス側でプレーするのはコーチやフロント、スタッフが中心。そこになぜ、現役選手が来るのか。いぶかっていると仰木さんは突然、こんなことを発表したのです。
「五島は今年からバッターにするわ」-。驚きの打者転向でした。それを明かす舞台として、記者と野球をするグラウンドを選んだのです。驚くやら、面白いやら、不思議なムードの中、試合は開始。
記憶は定かでないですが野球経験者のこちら側の投手から五島氏がキッチリと長打を飛ばしていたことは覚えています。仰木さんが「エエやろ?」と笑っていたことも。いかにも「マジシャン」の仕掛けだったと思うのです。
五島氏はその後、05年限りで現役引退するまで10本塁打をマークするなど打者としてプレー。現在も野球に携わっている様子です。その「マジシャン」も05年にこの世を去り、今月15日で丸20年になりました。
いま考えるのは阪神藤川球児監督が現在、育成選手の西純矢が支配下登録されたとき、その“打者デビュー”をどう飾るのか、ということ。場面によっては虎党に止まらず、野球ファン全体の注目事になるかもしれない、と思うとそれも楽しみなのです。




