「携帯がない」と必死でスマホを探していると、ソファの背もたれのてっぺん、非常に微妙な場所に鎮座している。靴下、片一方どこいった、と思っているとセーターを入れている引き出しから登場。「オレは大丈夫か」と思う。
トシを重ねると、そうなるのか。そう思うが大学生の頃にマージャンで牌の隣を切ってしまうのは普通だった。なぜ、そんなことをするのか。したのか。自分で分からないことをしてしまうのが人間かもしれない。こちらだけのことならすみません。
何をウダウダ書いているのかと言えばルーカスのボークを見たからだ。開幕からの先発スタッフ入りをかけ、ロッテ戦の先発に立ったルーカス。3回無失点でうまく立ち上がった。スイスイ行くかな、と思ったが4回に犠飛で1失点。そして「おや」と思ったのは5回だった。
先頭の小川龍成に三塁内野安打を許し、無死一塁。ここで次打者の1球目にボークを記録してしまう。それが実に不思議な形だった。左腕のルーカスはまず軸足の左足を外し、一塁へけん制球を投げようとしたはず。だが、なぜかそのまま本塁へ体をひねって苦しい形で投じるのだ。その瞬間、ルーカスは自分で頭をたたくような様子を見せた。
結局、5回2失点で降板。ベンチに戻ると指揮官・藤川球児と笑顔で会話するなどリラックス様子。どういう話だったのだろう。
「『体大丈夫?』っていう風に気にかけてもらって。『大丈夫です』という風に答えて。その後は自分のやらかしてしまった、ボークの話とか。なんであんなことをしたのか自分でも分からないですけど。ちょっとね。面白い動きになってしまいましたけども。そんな話を、ちょっと。はい」
さすが関西のチームに入団したからか。自身の“大ボケ”ぶりを素直に説明したそう。一緒にして申し訳ないが共感できる話だ。この仕事をしていて選手の好き嫌いは表に出していないつもりだが好感度アップ。
もちろん、それだけでなく角度のある投球やボーク以外ではマウンドでの落ち着きも感じさせた。外国人投手の獲得には定評のある阪神、という感じもする。「いいところまでいけたのでよかったですね」。球児はさらりと話したが、なんと言っても投手はいくらいてもいいポジション。使えるメドが立ちつつあるのはいいことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




