【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)26日(日本時間27日)=四竈衛】メジャー1年目のホワイトソックス村上宗隆内野手(26)が、敵地ブルワーズ戦に「6番一塁」でスタメン出場し、デビュー戦で豪快な初アーチを放った。9回の第4打席。救援右腕ウッドフォードから、2階席看板を直撃するソロアーチをたたき込んだ。日本人メジャーのデビュー戦本塁打は6人目。村上はヤクルトでのデビュー戦でも本塁打を放っており、日米でデビュー戦本塁打は日本人初。ホ軍大敗の中、2打数1安打1打点2四球と際立つ存在感を披露した。

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感情の高ぶりを感じさせない視線のまま、村上は右翼席へ向かって行く打球を見届けた。9回、13点差が付いた一方的な展開。それでも、冷静さと集中力に乱れはなかった。カウント1-1からやや内角寄りに入る90・5マイル(約146キロ)のカットボールを振り抜いた。「ファウルにならないと思いました。いい角度で捉えられた」。ゆっくりと歩き始めたのは、決して余韻に浸ったわけではない。「スタートしたな、という気持ちはありますけど、これからだなと」。メジャー1号は、米挑戦の志を再確認する号砲だった。

世界最高レベルの舞台に立つことは、夢や憧れではなく、あくまでも目標の一端だった。超満員の敵地の雰囲気にも、気後れとは無縁だった。試合前の開幕セレモニー、国歌斉唱…。日本とは異なる景色を、客観的に両目に刻んでいた。「意外と冷静にプレーできましたし、舞い上がることなく、しっかり地に足を着けてプレーできた」。23年、そして今年と、重圧を背負って戦ったWBCの重みを、開幕戦のグラウンドで思い起こしていた。「こういう舞台で生きてくると、初めて実感した。20歳の時や18歳の時に、できたわけではないですけど」。

マイナー契約に限定される「25歳ルール」の対象外となる昨オフまで着々と下準備を進め、万全を期してポスティングでの移籍に踏み切った。FA市場の動きが鈍く、周囲が予想した長期契約ではなく、チーム再建中のホ軍と2年契約を結んだのも、メジャーの舞台に立つだけでなく、自らの野球人生をかける決意の表れだった。「ここで活躍すること。スタメンに名前を連ねるだけじゃない」。メディカル面だけでなく、専属シェフを伴うなど、戸惑いの多い米国で、より野球に打ち込める環境を整えた。

村上がデビュー弾を放っても、チームは大敗。若い選手が大半を占め、23年から3年連続で年間100敗を喫したホ軍の行く末は、現時点では見えてこない。それでも、村上はけれん味なく言った。「あと161試合。終わってみてしっかり結果を残せるように、また1日1日集中してやっていきたいと思います」。長丁場を見据える村上の落ち着き払った視線は、ルーキーの領域ではなかった。