「りくりゅう」はボストンを楽しみ尽くした「話にならないレベル」から2季ぶり世界一

3月30日に閉幕したフィギュアスケートの世界選手権(米ボストン)で、愛称「りくりゅう」の三浦璃来(23)、木原龍一(32)組(木下グループ)が2年ぶり2度目の優勝を飾りました。

26日のショートプログラム(SP)を首位で終え、翌27日のフリーでも最終滑走でリードを守り切りました。

2人が優勝の一因に挙げたのが「楽しむこと」。その姿勢は現地で取材する記者にも伝わっていました。

フィギュア

木原は笑っていた 「うそです、うそです」

思わず、だまされてしまった。

世界選手権が開かれたボストンのTDガーデンから、徒歩5分ほどの練習用リンク。ガラス張りとなっており、道行く人も滑る姿を見られる開放的な場所で、大会中の公式練習が行われていた。

建物を出たところには、TDガーデンや、宿泊ホテルへ向かうシャトルバスが30分おきにやってくる。

あれはSP前日の25日、夕方のささいな出来事だった。

三浦、木原組はカナダ東部のオークビルを拠点としている。

ほど近いトロントからボストンまでは飛行機で約1時間40分。一方、日本からは直行便でも約13時間かかる。

日本との時差は13時間あるから、日本の夜中にあたるボストンの午後は眠気が襲ってくる。

「オークビルなら時差ぼけもなくて、いいですね」

そんな記者の問いに、木原が答えた。

「時差は30分ですからね」

30分の時差があるのか…。オークビルとの時差を事前に調べているわけはなく「30分とかあるんですね!」と切り返すと、木原は笑っていた。

「うそです、うそです」

その言葉で、ようやくジョークだと気づくことができた。

実際は時差がない。絶妙な線をついてきた。

「こんなリンクで練習すること、めったにないから…」

日本スケート連盟関係者にそう声をかけられ、一緒にシャトルバスを待つ後輩の長岡柚奈、森口澄士組と4人で横に並んだ。リンクをバックに記念撮影。肩の力が自然と抜けているように見えた。

世界選手権SP前日の3月25日、練習用リンク前でシャトルバスを待つ際に写真に納まる右から木原龍一、三浦璃来、長岡柚奈、森口澄士(撮影・松本航)

世界選手権SP前日の3月25日、練習用リンク前でシャトルバスを待つ際に写真に納まる右から木原龍一、三浦璃来、長岡柚奈、森口澄士(撮影・松本航)

その日は午後1時からTDガーデンでの公式練習も行われていた。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。