年齢を重ねるにつれて起こってくる『加齢性難聴』に限らず、難聴は社会生活に大きな影響を及ぼします。その影響とは『うつ病』『認知症』などです。そこを具体的に知って欲しいと思います。
まずは難聴が生じて音の聞こえが悪くなります。そこから始まりますが、「ベルの音が聞こえない」など、ちょっとした聞こえにくさからです。それが進行すると、言葉の聞こえに影響してきます。
言葉が聞こえにくくなってくると、日常生活でも仕事でもコミュニケーションがとりづらくなります。具体的には、重要な話を聞き間違えてしまうとか、何度も聞き返さないといけなくなる状況が生まれてしまいます。すると、周囲の人々は大変な思いをしますが、本人もいらいらするとか怒りとか、心理的な変化が起こります。これとは逆に、「言っていることがきちっと伝わっているかなー」「問題なく仕事ができるかなー」といった不安だとか自信がなくなってくる、ということが起きてしまうのです。
このような状態になると、会合とか人との集まりに行きたくなくなり、参加しないようにしよう、ということに-。この負の連鎖がどんどん生じてしまうので、社会への参加ができない状態になります。
「社会的なつながり」「人とのつながり」がなくなってくると、“孤立”です。そこからうつ病や認知症につながるのです。難聴は単に難聴だけでは済まないことを知ってください。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

