「加齢性難聴」で「補聴器療法」が適応になって補聴器をつけても、すぐにやめてしまう患者さんが少なくありません。会話をして日常生活を楽しむためにも、正しい補聴器の使い方を身に着けてほしいと思います。
そのために行っているのが「補聴器のトレーニング」です。ただ、トレーニングと言っても何か訓練をして能力をアップさせるものではありません。患者さん自身が持っている聞こえの能力を最大限発揮できるようにする、というイメージです。
基本的には「語音聴力検査」で音の大きさを上げていくと、言葉の聞き取りの正解率がどんどん上がります。聞こえの音が会話領域からずれ、より大きな音でしか聞こえない状況に対し、補聴器を使って音を大きくして聞くことになれるようにするのです。
音を大きくした状態でしっかり補聴器を付けられるようにする、これが補聴器によるトレーニングです。だから、常に補聴器をつけて音を聞き続けることになります。そうすることで、脳の音への感じ方を変えるのが重要ポイントです。
補聴器で10倍、20倍の音量が鼓膜に当たるようにすると、難聴の方はちょっと音が大きくなると“うるささを感じやすい”というのも1つとしてあります。だから、トレーニングの最初は「うるさいなー」と、皆さん言われます。しかし、補聴器に順応するためのトレーニング。ここは“慣れる”ことが大きなポイントで、重要なのです。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

