柔道男子60キロ級で2021年東京五輪(オリンピック)金メダルの高藤直寿(32=パーク24)が9日、都内で会見を開き、現役引退を発表した。

神奈川・東海大相模中、高とジュニア時代からエリート街道を突き進んできた。しかし、「僕の場合はルール改正とかもいろいろあって、もろに食らってきた人。試練の連続でした」とも言う。

立った姿勢や組んだ状態で、相手の帯から下の脚などをつかむ「足取り」が反則行為となり、新たなスタイルの構築に苦しんだ経験を振り返った。

幼少期から小柄を補う足取りを組み合わせた投げが真骨頂だった。

しかし、過去に試験適用されたルール下での国内公式戦で、日本初の事例となる足取りでの反則負けを経験した。

その後、足取りは12年ロンドン五輪後により厳罰化され、禁止行為となった。

衝撃的な敗戦で、得意技の肩車を奪われた高藤は「本当に足取りがなくなった時は、もう柔道無理なんじゃないのかなって思っていた」と当時の心境を口にした。

それでも、「自分の柔道を変えられるようになった」。今では柔道家としての大きな成長のターニングポイントにしていた。

競技ルールは世界のトレンドや時代に合わせて柔軟に変わる。それはアスリートという生身の人間もそうだった。高藤自身も「体もやはり年齢ごとに変わる」と理解していた。

だからこそ、21年東京五輪の金メダルは、新たな自分と向き合い続けた証左でもあった。

今後は所属先の男子コーチと女子のアドバイザーとして後進の指導に当たる。世界とのギャップに苦しんだ高藤だからこそ、伝えたいことは-。

「(足取りの反則)負けが全て僕を変えてくれた。自分にしか分からない柔道スタイルの変化の仕方も今後選手たちに伝えていきたい。絶対に変えなきゃいけない時がどの選手にも来る。それは僕にしか伝えられないのかな思うし、それが僕の使命だと思っています」

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