参議院の農林水産委員会で26日、「農業構造転換の推進に必要な施策の集中的な実施の財源に充てるための日本中央競馬会の国庫納付金の納付に関する臨時措置法案」「日本中央競馬会法の一部を改正する法律案」に関連し、質疑応答が行われた。
立憲民主・無所属会派の石垣のりこ議員は馬の福祉、アニマルウェルフェアについて、鈴木憲和農水大臣、JRAの吉田正義理事長、農林水産省に対し、質問を行った。
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石垣のり子議員「馬の福祉の向上について伺っていきたいと思います。24日の所信質疑で、ドバイワールドCへの日本競走馬の出走の件について質問いたしました。その際、渡航制限や退避勧告が出ている地域に競走馬を出走させる場合、厩務員等の関係者を帯同させることになりますが、これは労働者を危険な地域に派遣するものであって、安全配慮義務との関係で重大な問題があると私は指摘をいたしました。また同時に、競走馬を紛争リスクのある地域に輸送、滞在させることは、アニマルウェルフェアの観点からも適切とは言えないのではないでしょうか。
24日の答弁において鈴木大臣は、日本中央競馬会として、ドバイワールドCデーへの出走のため、出国した関係者に対し、特段のペナルティーを科す考えはない旨を承知していると、また、農林水産省としても同様の認識であるとの趣旨の答弁をされています。
現状では明確なルールが存在しないので、そのような答弁にならざるを得ないという側面はもちろんあるとは考えるんですが、先に指摘しました通り、アニマルウェルフェア、労働法規については、競馬に関係するものに対して順守を徹底させる仕組みというのが本来ちゃんと行われてしかるべきだというふうに考えます。その点から、以下、具体的に伺います。
3月の半ば、G1馬を多数輩出している牧場において、子馬に対する虐待が疑われる動画がSNS上に投稿されて、問題になりました。当該事案については、牧場側の対応も含めて批判が拡大しまして、その後、動物愛護団体による告発に至っていると承知しています。また、この当該の子馬については、栃木県の那須の方に引き取られたというような報道もございました(資料の1枚目に具体的な内容が示されております)。
まず、鈴木大臣に伺いますが、その動画及びその後の経緯について把握されているでしょうか。その上で、本件についてどのように受け止めているか、率直なご認識を伺いたいと思います」。
鈴木憲和農水大臣「はい。この動画については拝見をさせていただきました。今回のこの虐待を疑う事案に関して、日本中央競馬会からは、今回の子馬の取り扱いは極めて遺憾であるということ、そしてまた、馬に対する適切な取り扱いやアニマルウエルフェアの確保は、馬に携わる者が守るべき基本的な姿勢で極めて重要というふうに聞いておりますので、私としても同様の考えであります」。
石垣のりこ議員「農林水産省としては何らかの対応をなされたんでしょうか」。
鈴木憲和農水大臣「はい。この牧場においてですね、子馬を虐待すると疑われる行為が行われていたことがこれ事実であれば非常に残念であり、速やかに改善していただく必要があるという風に考えております。農林水産省としては、このような疑いのある現状を速やかに改善していただくため、令和8年3月18日に関係団体に対して管理馬の取り扱いに関する通知を発出し、軽種馬生産者などへ注意喚起を行ったところであります」。
石垣のりこ議員「注意喚起はしていただいたということなんですけど、日本中央競馬会としてはこの記事にもございますが、『各牧場は独立した事業者であり、直接指導する立場にはない』という風にしているんですね。しかしながら、育成牧場管理指針を定めている以上、当該指針は実質的に順守が求められていると考えます。しかしながら、競走馬の供給源である生産段階においてこのような事案が発生している以上、やはり関与しないという整理のままで良いのかという点で、制度としてやはり問われるのではないでしょうか。
日本中央競馬会ならびにに調教師、生産牧場等の関係者は、国が示しているアニマルウェルフェアに関する使用管理指針を順守すべき立場であると考えますが、まずはJRAの見解を伺います」。
JRA吉田正義理事長「私もあの映像見まして、大変ひどいなと、残念だなという風に思った次第でございます。先生からもお話ございました通り、私ども、個々の牧場の経営、運営について関与するものではないというのはひとつ、筋としてですね、持っているところでございます。ただ、資料にもございます私どものJRA育成牧場管理指針、これに基づいていろいろやってくれということで、生産牧場、育成牧場にも講習会などを通じて冊子を配布し、しっかりお願いをしているところでございます。
こういったことを継続してやっていきたいということでありまして、こちらにも記載がございますが、本当に基本的にですね、『子馬を力で屈服させてはいけない』とか、『優しい言葉で接しなさい』とか、これ実は本当にベースにあるところでありまして、これが守れないというのは、やっぱりこれは相当まずいんじゃないかという風に思っております。
私は今回の件につきまして直接、軽種馬生産団体の役員、皆さん牧場経営者でございますが、直接意見交換をいたしました。その際にも皆さんからは『極めて異常なことだ』『極めて残念な事例である』と、こういったことを軽種馬生産団体の役員の方、牧場経営の方も申していたということを申し添えたいと思います」。
石垣のりこ議員「意見交換もしていただいているということで、今後、この牧場主の方が本当に改善をしていかれるのかどうかということを、この通知をして、その場でいろんな意見が出されて終わりではなく、経過観察というところまできちんとしていただいた方がいいのではないかと思うんですね。
今回、動物愛護団体から北海道警に動物愛護管理法違反で刑事告発されております。仮に動物愛護管理法違反で罰せられたとしても、現状ではこの牧場は競馬との関係では何ら罰則はありません。動物虐待をしているという判決が出た場合ということになりますけれども、こういう牧場に何の処分も行わないというのは、これはこれでいかがなものであろうかという疑問が生じます。
一般的に、刑事罰を受けた企業であるとか、状況にもよりますけれども、官公庁の指名停止措置になって、公的取引を一定期間停止させられたりします。各牧場は独立事業主とはいえ、農林水産省所管の競馬産業の公正安全な振興の観点からも、農林水産省としても、またJRAとしても、注意喚起して終わりではなく、改善されているのか聞き取りをしたり、報告を受けるなどして積極的にご対応いただきたいと思いますが、この点、JRA、そして農林水産省、双方からの回答を求めます」。
畜産局長「お答えいたします。本件につきましては、先ほど申し上げましたように、通知を発したところでございまして、この通知について、生産現場に通知の周知が徹底されますように軽種馬生産者の団体の会議でありますとか研修の場におきまして、今後とも管理馬の取り扱いについて周知をいたしますとともに、競馬関係団体等が行います周知の取り組みを後押ししてまいりたいと思っております。
また、本件につきましては、動物の愛護に関する条例に基づきまして、北海道庁が当該牧場に対しまして状況確認を行っていると承知しておりますので、農林水産省といたしましても、北海道庁と連携しながら状況をフォローしてまいりたいと考えております」。
JRA吉田正義理事長「私ども、公益社団法人の日本軽種馬協会、同じく公益社団法人の競走馬育成協会、それから軽種馬農協もございますので、こういった関係者と一丸となって、取り組んでいきたいという風に考えております。
それから、今回のケースのみに限る話ではないんですが、一般論といたしまして、先ほどございました動物の愛護及び管理に関する法律に違反したと、こういった事実認定がありますれば、私ども生産牧場賞というものを交付しておりますが、そちらの交付についてどうするのかと、踏み込んで検討したいという風に思っております」。
石垣のりこ議員「ありがとうございます。今後の経過も含めて、ぜひともご対応をきちんとしていただきたいと思います。よろしくお願いします」。

