参議院の農林水産委員会で26日、「農業構造転換の推進に必要な施策の集中的な実施の財源に充てるための日本中央競馬会の国庫納付金の納付に関する臨時措置法案」「日本中央競馬会法の一部を改正する法律案」に関連し、質疑応答が行われた。

立憲民主・無所属会派の石垣のりこ議員は競馬における労働環境、労働基準法第41条について、JRAの吉田正義理事長、厚生労働省、鈴木憲和農水大臣に対し、質問を行った。

   ◇   ◇   ◇

石垣のりこ議員「労働環境について伺いたいと思います。競馬における労働環境です。

トレーニングセンターで働く厩務員に関してなんですが、生き物を取り扱う業種であるということで労働基準法第41条の適用外になっています。しかし、厩務員の業務は畜産物の生産ではなくて、この競馬という興行を成立させるためのものであって、畜産業で食べるために育てているのとは理由が明確に異なります。

同じ飼育、育成でも、食べるために育てるのと競馬というレースで勝つために育成するのを『同じ飼育だからと一緒にするのは無理があるのではないか』と考えます。それにもかかわらず、労働基準法第41条との関係が曖昧なままとなっているということで課題が生じているのではないでしょうか。

総務省の日本標準産業分類の中分類では、競馬は娯楽業に分類されておりまして、細分類では『競馬競技団』と記載があります。この細分類の説明には、競馬を施行または開催する事業所を言う。『馬主、馬などの登録、調教師、騎手の免許、訓練などの競馬に付帯する業務も本分類に含まれる』となっておりまして、畜産業に分類されていないです。

そこで、この娯楽業と位置づけであるということも考えますと、畜産業というよりは、どちらかというと動物園の飼育員に近い立場にあるのではないかと捉えられます。

そこで伺いますが、厩務員については、労働基準法第41条の適用除外から外して、労働時間規制の対象として明確に位置づけるべきではないか、と考えますが、政府の見解を伺います」

厚生労働省大臣官房「お答えいたします。労働基準法第41条では、事業の性質上、天候等の自然的条件の影響を著しく受ける農業、畜産業、水産業等の事業に従事する労働者について、労働基準法における労働時間規制を適用しないこととしております。

労働基準法の適用にあたりましては、各事業場における事業の種類について、実態を踏まえて個別に判断することとしておりまして、一般に、厩舎において主として競走馬の飼育や調教等が行われてる場合は、畜産の事業に該当するものとして取り扱っているところでございます。

このため、調教師との間で雇用契約を結び、厩舎において競走馬の世話を行っている厩務員につきましては、労働基準法第41条により労働時時間規制が適用されないこととなっております。

一方で、労働基準法の労働時間規制が適用されない場合であっても、長時間労働によって健康を害することはあってはならないものでございますので、労働時間の把握あるいは医師の面接指導等の法律上必要な義務をしっかりと果たしていただけますよう、今後とも対応をしてまいりたいと考えております」

石垣のりこ議員「対応していただけてるところももしかしたらあるのかもしれませんが、実際、募集要項などをJRAさんのホームページで拝見すると、厩務員7・5時間1日勤務で、月曜休日になっているんですけども、勤務員の1日の紹介を見ると、朝3時とか4時にスタートして、夕方4時5時までのお仕事。もちろん休憩も挟むことは挟むんですが、そういう労働時間で書かれていて、実質、非常に狭き門で、合格率が非常に、騎手の方とかもそうですけど、低い狭き門をくぐり抜けて馬好きの方が勤務されるということで、大変な労働環境でもやりがいがあるし、ここに自分が来たくて来たんだということで、なかなか、不平不満があっても言いづらい環境にあるのではないかということが推測されますし、実際にいろいろ課題を抱えた方が労基署に相談に行った場合に『第41条の適用除外だからここでは対応できない』というふうに言われてしまっているという現状があるようです。

厩務員と調教師との間で労働問題が発生した場合に、やっぱり調教師が個人事業主であることを理由に日本中央競馬会が関与しないという整理がなされているということで、ただ、実態としては今申し上げたようなこともありますので、これは畜産ではなく、やっぱり労働者として41条が適用される…、実態としてはそちらの分類にある方が法的な整合性としても成り立つのではないだろうかと考えます。この労働時間や休日についての規定も含めて、なかなかこの41条の適用外だからと取り合っていただけない現状を変えるためには、やっぱりこの分類にも鑑みて、しっかりとこの適用内にしていただくのが良いのではないでしょうか。

そして、労基署に相談に行くのにもやっぱりハードルがありますので、今ご対応いただいてるという話もありましたが、もう少し気軽に相談できる窓口であるとか、そういうものがJRAの中にあれば非常に良いのかと考えますけども、改めてご答弁いただけませんでしょうか」。

JRA吉田正義理事長「私どもの厩舎従業員についてのご質問ありがとうございます。長時間労働のお話であるとか、41条適用外にすべきであるとか、いろいろなお考えはあろうかと思いますが、私ども厩務員、実はなかなか今、なり手がない状況になっていてですね、一生懸命募集などをかけているところでございます。

そうした中で、組合の方も有休取得の推進であるとか、そういったところにも取り組んでおりますので、まずは組合側でどう取り組むか、そして、組合と雇用者であります調教師会の方でお話を進めるというのが1つの形ではないかという風に思っております。

そうした中で、私ども、やはり労使関係を円滑にしていただかないと競馬の開催自体に影響を及ぼすようなことは困りますので、側面的な支援というのはやっていきたいと思っております。お話ございました相談窓口っていうかですね、そういったところでございますが、私ども、やはり世間一般、やっぱりハラスメント、いろんなハラスメントがあると聞いておりまして、匿名が担保された相談窓口、こちらを『厩舎関係者相談ホットライン』というのを私ども本部の方、担当部署に設けまして、そちらに電話をいただいていろいろなご相談に乗るということにしております。

そういった声は調教師会、雇用者団体であります調教師会とも共有いたしまして、労使関係がうまくいくよう取り組んでるところでございます。そのほか、コンプライアンス研修であるとか、いろんな取り組みもやっております」。

石垣のりこ議員「41条の関係について、厚労省からもう1度ご答弁をいただいてもよろしいでしょうか」

厚生労働省大臣官房「お答えいたします。労働基準法の適用単位は事業場ということで、主に場所的観念で決定されることになっております。

トレーニングセンターの厩舎は競馬場とは異なる場所にあり、また、一般的には、先ほども申し上げた通り、個々の調教師のもとで調教師と雇用契約を締結した厩務員等が業務を行うということで、これを独立した事業場として取り扱い、実態を踏まえて現在判断しているところでございます。私どもとしては、引き続き適切に労働基準法が運用されるよう取り組んでまいりたいと考えております」。

石垣のりこ議員「これはちょっと今後の課題でもあると思いますので、問題提起させていただきたいと思います。是非、ハラスメント、また労基法違反について相談できる窓口、さらにご検討いただければ幸いです。大臣、今の話を聞いて、ちょっと事前通告しておりませんけれども、この厩務員の立ち位置、畜産としての41条から外れるのか、それともやはり動物園の飼育員的な立ち位置から41条の適用になるのか、何か、今聞いていてお考えがもしありましたらお話いただきたいんですけども」。

鈴木憲和農水大臣「今、答弁を聞いておりまして、やはり現行制度であったとしてもですね、大切なことは、その長時間労働で心身を壊してしまうようなことがあっては決してならないと思いますので、その辺については政府としてしっかり対応させていただきたいと思います」。