国際オリンピック委員会(IOC)は26日、2028年ロサンゼルス五輪から女子種目に出場する選手に、性別確認のための遺伝子検査を実施すると発表した。参加資格は「生物学的な女性に限る」とし、出生時の性別が男性で女性を自認するトランスジェンダーの選手は認めない。
IOCは科学的な知見に基づき、男性として生まれたことが身体的な優位性をもたらすと指摘。身体の性の発達が典型的でない「性分化疾患」の選手の参加も制限する。コベントリー会長は記者会見し「全ての競技の公平性、安全性、公正さを確保しなければいけない」と語った。
対象となるのはロス五輪以降のユース五輪などを含むIOC主催大会。検査は1度だけで、男性の特徴の発達に関わるY染色体上の「SRY遺伝子」の有無を調べる。遺伝子検査は昨年の陸上の世界選手権などで導入されたが、国連人権理事会や人権団体が強い懸念を示しており、波紋を広げそうだ。トランス選手を巡っては、ロス五輪を控える米国のトランプ大統領が昨年2月、女子競技参加を禁じる大統領令に署名した。
24年パリ五輪のボクシング女子では過去に性別適格検査で不合格だったアルジェリアと台湾の選手が優勝。女子種目の出場資格が大きな議論となった。IOCはルール作りを各国際競技連盟に委ねていたが、昨年6月就任のコベントリー会長は主導的な役割を果たすべきだとして「女子種目保護」の作業部会を新設し、協議してきた。
出生時の性別が男性で女性を自認するトランスジェンダー選手の女子種目参加を巡る経過は次の通り。
2021年8月 東京五輪の重量挙げで、性別適合手術を受けて女性となった選手が五輪史上初めて女子競技に参加
11月 IOCが新方針を発表し、各国際競技連盟にルール作りを委ねる
23年3月 世界陸連が男性として思春期を過ごしたトランス選手の女子カテゴリー出場禁止を決定
24年8月 パリ五輪のボクシング女子で性別議論となったアルジェリアと台湾の選手が金メダルを獲得
25年2月 トランプ米大統領がトランス選手の女子競技参加を禁じる大統領令に署名
9月 IOCが女子種目の保護に関する作業部会設置を発表
26年3月 IOCが28年ロサンゼルス五輪から女子種目の出場選手に遺伝子検査を実施し、トランス選手の参加は認めないことを発表


