プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が12月27日、サウジアラビア・リヤドで臨むWBC世界同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦はペイ・パー・ビュー(PPV)配信になると10月31日に発表された。井上-ピカソ戦をメインとするボクシング興行RING5「ナイト・オブ・ザ・サムライ」を生中継するNTTドコモ運営の配信サービス、Leminoで実施される。井上の世界戦のPPV配信は21年12月のアラン・ディパエン(タイ)戦に続き、約3年11カ月ぶり2度目となる。
サウジアラビア政府直轄プロジェクト「リヤド・シーズン」と推定総額30億円という複数年のスポンサー契約を結んだ井上の動向に合わせ、NTTドコモ側も約1年前からリヤド・シーズン側と接触を開始。配信体制を整えてきた。24年11月、リヤド・シーズンを運営する同政府総合娯楽庁のトゥルキ・アラルシク長官も井上とのスポンサー契約締結の際に「25年には大きなプログラムがある。それは大きな日本の通信会社の協力も得えビッグサプライズが待ち構えている」と強力なタッグを組むと予告していた。
Leminoが国内向けに井上の海外世界戦の配信に取り組むのは初となる。日本人選手がサウジアラビアで世界戦に臨むこと自体も初めてとなるため、初期段階から設備面を含めた配信の環境を整えることが不可欠となる。
今回のPPV価格は4950円(税込)に設定。その他の配信の詳細は7日に発表される予定だ。興行自体も井上だけでなく、元WBC、IBF世界バンタム級統一王者中谷潤人(27=M・T)のスーパーバンタム級転向初戦、元WBA、WBC世界フライ級統一王者寺地拳四朗(33=BMB)の3階級制覇挑戦のカードがある。
さらに史上初の高校8冠を含むアマ10冠の前日本ライト級王者今永虎雅(26=大橋)がWBA世界同級4位アルマンド・マルティネス(30=キューバ)と対戦し、アマ13冠でWBA世界スーパーフェザー級3位の堤駿斗(26=志成)がWBA同級暫定王者ジェームス・ディケンズ(34=英国)に挑む。アマ9冠で堤の弟麗斗(23=志成)もスーパーフェザー級のレオバルド・キンタナ(23=メキシコ)と対戦する。
これまで日本ではLemino、Amazonプライムビデオ、U-NEXT、ABEMAとそれぞれ別々の配信会社で試合を重ねてきた日本人ボクサーがそろって出場する豪華な興行となる。今回の価格設定も妥当と言えるだろう。
22年4月ごろから映像配信の分野でスポーツに対する投資が活発化。国内でもAmazonプライムビデオ、Lemino、U-NEXT、ABEMAが日本人世界戦の配信を開始し、4年目に突入した。米国の配信サービスのネットフリックスも参入。複数の配信会社の競争が起これば、放送権料も必然的に引き上がる。選手たちのファイトマネーも上がることで「見る価値がある」と思わせるカードが増える。
スポーツ界の中でもボクシングが先駆け、テレビ地上波から配信の生中継に切り替わった。同じ22年にサッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選の日本代表戦の数試合はDAZNが配信。26年に開催される野球世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)もネット不リックスの独占配信が発表されたばかりだ。有料で視聴するというPPVスタイルは世界スポーツ界全体の“潮流”となりつつある。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)





