WBC世界ライトフライ級2位岩田翔吉(30=帝拳)が1年ぶりに世界王座に返り咲いた。同級王者ノックアウト・CPフレッシュマート(35=タイ)に挑戦し、8回1分33秒、負傷判定勝利。昨年3月にWBO世界同級王座から陥落以来となる世界ベルトを再び手にした。格闘技を始めた当時の師匠で人気格闘家だった故山本“KID”徳郁さんの誕生日にささげる王座獲得となった。山本“KID”さんの姉美憂(51)が見守る中、リング上で感極まり、うれし涙を流した。

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「特別な日」に強豪王者を撃破した。1年ぶりの世界ベルトが腰にある。岩田は「はい上がりたいと毎日、思っていた。全勝も魅力的だが、負けからはい上がる時はすごく勇気がいる。だけど…みんな応援してくれて…1人の力では返り咲けなかった」。言葉を詰まらせ、あふれ出る涙をぬぐうと、集まった観客から大きな拍手を送られた。

10年無敗でWBA世界ミニマム級王座16度防衛に成功した2階級制覇王者を下した。ムエタイでも殿堂ルンピニー・スタジアム王者、日本人戦3連勝というノックアウトに対し、強烈な右フック、強引な左ボディーをねじ込んだ4回の偶然のバッティングで左目上を切った王者の傷が深くなり負傷判定となったが「はんぱなくチャイスー(折れない心)な王者。普通なら倒れるクリーンヒットが当たったが、生きたパンチを返してきた。ただ自分のパンチも当たっていた。ポイントは取っていた」と勝利を確信していた。

昨年3月、レネ・サンティアゴ(プエルトリコ)に敗れてWBO王座から陥落後、一時は引退も頭によぎった。在位期間はわずか5カ月。2か月間の休養を与えられ、母校早大での指導や同門の練習パートナーを務めて体を動かしたが「浮き沈みがあった」。昨年末、田中繊大トレーナー(53)とのコンビ結成が転機に「繊大さんが向きあってくれたから」と感謝した。

リングサイドには山本“KID”さんの姉美憂を呼んだ。試合当日朝、美憂から墓前報告してきたことを伝えられていた岩田は「徳さんが格闘技をやるきっかけをくれ、こういう大人になると頑張ってきた。3月15日、子供のころからあこがれたWBCのベルトを巻けて特別な日になった」と感慨深げ。KID魂を胸に世界王者として再スタートを切った。【藤中栄二】

◆ライトフライ級戦線メモ WBA、WBO統一王者レネ・サンティアゴ(33=プエルトリコ)が4月3日、東京・後楽園ホールでWBA7位、WBO4位の谷口将隆(32=ワタナベ)との防衛戦、そしてIBF王者タノンサック・シムシー(25=タイ/グリーンツダ)が4月13日、東京・後楽園ホールで同級1位セルジオ・メンドーサ(25=メキシコ)との初防衛戦に臨む。またWBCにはカルロス・カニサレス(33=ベネズエラ)が休養王者として存在する。

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