★そもそも、日米首脳会談は米ドナルド・トランプ大統領の訪中前に何としてもトランプに会っておきたいという首相・高市早苗の都合から始まった。それに伴い衆参の予算審議は短縮され、日米間の懸案は国会では話さずトランプとのやりとりを見て判断しろという乱暴なものだった。ところが米国とイスラエルがイランに戦争を仕掛け、中東に戦火が広がる事態に、トランプは訪中の延期を申し入れ、日本は日米首脳会談で米国、イスラエルに追随して参戦するか否かにテーマをすり替えた。「日本にはできることとできないことがある」と首相が改憲を強く望む憲法9条を盾にホルムズ海峡への自衛隊派遣要求をかわし、事なきを得た。

★この首脳会談をもろ手を挙げて評価する日本メディアが多いが、それは「しのいだ」「無難に乗り切った」というもので、トランプや高市の性格を熟知した外務・経産チーム、つまり官僚の欲した落としどころに着地できたことへの評価でしかない。彼らのホワイトハウスへの下準備と根回しの結果で、高市の役割を最小限にしたにもかかわらず、高市は妙なパフォーマンスに走ったが、握手をせずに抱きつくとか「ジャパン・イズ・バック」と叫ぶぐらいで済んだおかげで大勢に影響がなかった。そこは日米双方の利害だろう。それでもトランプは高市の対中政策に言及。米中関係が良好な今、邪魔をするなと直接、高市に申し送りしたかったのだろう。本当の日米首脳会談の評価は今後行われるトランプ訪中と米中首脳会談の結果に表れることになるだろう。

★海外の反応は総じて「愛嬌(あいきょう)」とか「愛想」などという、決して外交の場の表現として使われない言葉が並んだが、首相ら大訪米団は帰国すると早速、参院では「不測の事態にそなえるため」、暫定予算案を編成する準備に入った。年度内にこだわった首相も予算が終わればその求心力は衰えるという見方が党内では出始めた。党ベテラン議員は「2月8日の総選挙で316議席を得たところで高市の役割は終わっている。日米首脳会談と予算編成はそのご褒美だが、ここから先は党内政局になる」と不気味な発言が頭から消えない。(K)※敬称略