藤井聡太王将(竜王・名人・王位・棋聖・棋王=23)に永瀬拓矢九段(33)が2期連続で挑戦する将棋のALSOK杯第75期王将戦7番勝負第7局が25、26の両日、大阪府高槻市「関西将棋会館」で行われた。先手の藤井が永瀬を下し、シリーズ対戦成績を4勝3敗として5連覇を達成した。2日制タイトル戦で初めて1勝3敗とかど番に追い込まれたが、王者の底力で3連勝し、逆転防衛を決めた。
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負ければ2日制タイトル戦は初失冠となる大一番。藤井が王者の底力を見せつけた。自身のエース戦法「角換わり」を選択し、永瀬の渾身(こんしん)の研究手にも的確に対応した。主導権を握ってリードを広げ、相手の粘りに付け入る隙を与えない“完勝”だった。
2日制タイトル戦で初めて1勝3敗でかど番に追い込まれていた。「防衛が厳しいと感じることがあった」と本音を漏らした。過密日程も重なり、体力面、心理面も追い詰められた。それでも1勝3敗で迎えた第5局で気持ちを切り替えた。「防衛を目指してというよりも、目の前の一局を」。年明けから「不調説」もささやかれたが、崖っぷちの第5局から指し回しを修正。永瀬の用意してきた仕掛けや研究手に早い段階で対応し、主導権を渡さなかった。
「第5局を勝つことができたのが大きかったと改めて感じている。少し自分の中でも良い方向に行けたと感じています」
2日制7番勝負のタイトル戦(竜王・名人・王位・王将)で、1勝3敗の絶体絶命から逆転して3連勝した例はこれまでわずか4例しかない。92年第50期名人戦で中原誠名人が高橋道雄九段から逆転防衛して以来、34年ぶりの快挙に「不思議な気持ちというのが今の実感に一番近いのかな」と話し、土壇場からの3連勝をかみしめた。
藤井は増田康宏八段を挑戦者に迎える棋王戦5番勝負でも2勝2敗。王将戦は逆転防衛したが、もう1つのタイトル戦は失冠のピンチが続く。棋王戦第5局は29日、鳥取市で行われる。「本局と同じく盤上に集中したい」。2冠同時失冠の大ピンチから“ダブル逆転防衛”へ。崖っぷちで底力を示した若き王者が、中2日で次の大一番へ向かう。【松浦隆司】

