突然、総選挙の戦いの火ぶたが切って落とされ、驚くと同時に強い危機感と怒りを覚えている。なぜか?

それはほぼ全ての政党が競うように消費税減税、あるいは廃止を掲げているからだ。モノを買うたびに乗ってくる1割の税金が安くなる、なくなるというのは全ての消費者の心に響き、生活に直結する聞こえの良い話ではあるが、これは日本の財政の屋台骨を危うくする極めて無責任な策だと私は断言する。

消費税は年金、医療、介護、そして教育という国の根幹を支えるための安定財源だ。少子高齢化が急速に進む日本において社会保障の需要は今後ますます増え続ける。次世代への投資である教育にも、景気変動に左右されない恒常的な財源が不可欠だ。「社会保障目的税」として使われている消費税を減らす、なくす、ということは、世界にも類を見ない優秀さを誇る日本の国民皆保険制度の土台を崩すことにつながる。

代替の財源なき減税は次世代にツケを回すだけにとどまらず、日本の財政状況にはっきりと赤信号をともす。長期金利の上昇は警告だ。この影響は太平洋を越え、アメリカの金利にまで波及している。日本の長期金利の上昇が円安を加速させ、それは輸入物価の上昇となりインフレを引き起こす。ある大手シンクタンクによれば、5兆円減税をしたとしても経済波及効果は5000億円程度にしかならないとの試算が出ているとのこと。無理やりにどこかを削れば、その分の負担が他のどこかに増えるのは当たり前だ。

ならば一体何のための消費税減税なのか?

今選挙の最大の争点を「給付か減税か」にして欲しくはない。誰が現実から目をそらさず、日本経済の持続可能性について語れるのかを問いたい。優しさばかりでは国の運営は成り立たない。目先の人気取りではなく、国を率いる責任を果たせるのかどうかだ。

見通しとしては税制規律を一定程度意識した高市自民と維新の連立政権が現実的な選択肢ではあろうが、中道も周知されれば政権批判の受け皿になろう。焦点は第三勢力。参政、国民、みらいなど、保守系政党がどこまで伸びるか。この動き次第で国会の力学は大きく変わって行く。

選挙戦は残りわずか1週間。勝敗は最後まで予断を許さない。