高市早苗首相(自民党総裁)が仕掛けた、1月23日の電撃奇襲的な衆院解散から、まだ1週間あまり。でも、衆院選(2月8日投開票)はきょう2月1日が「ラストサンデー」で、投開票まであと1週間だ。この高市首相の動きに対抗するため、野党第1党の立憲民主党と、自民との連立政権を離脱した公明党が合体する形で急きょ結党されたのが、「中道改革連合」。これまでは連立政権のもとで自民党議員の多くが頼りにしていたとされる公明党の票が自民から離れることを意味し、自民党への大きな打撃となるとみられていた。
しかし、先週の衆院選公示後、複数のメディアが伝えた序盤の情勢予測では、自民の単独過半数を予測したものも含めて、自民の優勢が伝えられる一方で、中道の「伸び悩み」が伝えられた。
計算上は、自民党に流れていた公明党票が来るので有利な計算になるはずだけに、「まさかの数字」(中道陣営関係者)。もちろん選挙は始まったばかりで、投票行動を決めていない有権者も多いことから、今後情勢が変わる可能性が大いにある。それでも、「想定以上に支持が広がっていない」(同)の声もある、急ごしらえの感が否めない「中道」の現在地を象徴するような数字と受け止める関係者も、少なくない。
個人的に感じたのは、2017年衆院選の直前に立ち上がった立憲民主党への「風」との、大きな違いだ。この時は、当時の民進党が、小池百合子都知事が率いた「希望の党」への合流をめぐり、安全保障政策への立ち位置から「排除」された候補者の受け皿として、枝野幸男氏が立ち上げた。立ち上げは、公示の8日前。今回の「中道」と同様に急ごしらえの新党だったが、党のX(旧ツイッター)のフォロワーは、あっという間に15万人を超えた。「まっとうな政治」というキャッチフレーズには派手さもなかったが、「排除の論理」に屈せず、新しい選択肢を示した「ストーリー性」に、じわっと共感が広がった。衆院選では54議席を獲得し、小池氏の「排除」発言で失速した「希望の党」と対照的な結果となった。
当時、枝野氏にインタビューした際、結党前夜の舞台裏の一端を聞いたことがある。当時の民進党代表、前原誠司氏は党丸ごとの「希望」への合流を求めたが、枝野氏は前原氏に合流しない可能性を事前に伝え、周囲にも「ひと晩寝て考えが変わらなかったらやろう」と述べ、翌朝、目覚めるとすぐに動き始めたと聴いた。SNSでは「枝野立て」の声が広がり、枝野氏は「選挙に出る人だけではなく、投票できる先がないと思っていた有権者のみなさんが相当いらっしゃった。そうしたみなさんに選択肢を提示できたのは、良かった」と述べていた。
「排除」通告を受けた同僚たちへの受け皿作りという側面はあったが、新党を結成に至った「大義」が、有権者に一定の共感を得たことが、支持拡大にもつながった。ある意味の「ストーリー性」が明確だったからこそ、共感が広がった側面もあったと思う。
一方の「中道」だが、立憲の時のような、有権者の共感を呼ぶような「ストーリー性」が、まだ明確になっていないようにも感じる。それぞれの党が単独で戦っても「じり貧」となりかねず、それなら集合体となり、高市自民に対峙(たいじ)していくという論理は、理解できた。ただ、それが「数合わせ」と映ってしまった側面は否めず、そうではないという説得力ある説明が、これからさらに必要となっていくように感じる。
立民と公明「合体」の影の仕掛け人とも、キーマンともいわれる中道の安住淳共同幹事長は1月30日、東京都内で街頭演説した際、自民優勢の序盤情勢予測に関して「うちの党は、まだ生まれて8日で、首がすわっていない。これから自民党に対抗するもう1つの受け皿になりますからどうぞ、育てていただきたい」と聴衆に呼びかけた。「今度の解散は、自分たちの支持率が高いうちに裏金議員を(国会に)返してしまうということ。支持率を国や国民でなく、自民党の議員のために使おうとしているのは、あまりいいやり方でないのではないか」と疑問を呈し、「それでも自民党を応援しますか。それは、権力の術中にはまったことになる。ちょっと待った、と思ってもらいたい」と、聴衆に訴えかけた。
その後、報道陣の取材に応じた際には「1選挙区ずつ見ると、ものすごい接戦になっている。(自民と)数ポイント差のところが100近くある」と強調し、「予測の難しい選挙だがこれから頑張れば十分いい結果が出ると思う」と、自信をみせていた。
残り1週間の選挙戦はあっという間だ。1週間をへて導かれる新たな政界の地図は、どのような形になるのだろう。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)


