「有馬記念を勝った時はどんな気持ちでしたか?」
そう聞かれると、私の答えとしては「宝くじに当たったみたいな感じ」でしょうか。中山の2500メートルというトリッキーなコースでは、馬の力だけでなく、運も必要になるからです。
10年のヴィクトワールピサは、フランス遠征(ニエル賞4着、凱旋門賞7着)からジャパンCへ出走して3着でした。秋4戦目ですからハードだったと思いますが、市川オーナーは「元気なら使ってほしい」とご希望でしたし、調教担当の松田助手も「状態はいい」とのことでした。
もともと最初に入厩した時から「古馬が来たのか」と思うぐらい、飛び抜けた体を持った1頭でした。当時は社台グループで育った馬だけ成長のスピードが違うような印象もありました。完成度が高かったです。性格も勝ち気で、格上の年長馬と一緒に歩かせても威嚇して、立ち上がりながら調教へ向かっていたのを覚えています。そういう心身だったから、きつい日程にも耐えられたのでしょう。
あの年はルーラーシップとともに3歳馬2頭を出走させました。負担重量は古馬より2キロ減になります。私の感覚では、その差は広いコースより小回りの方が生かせると思います。重くなれば、スタミナへの影響だけでなく、加速の時にシュッと動きづらくなります。初速が遅くなるので、コーナーから直線を向いた時に置かれてしまうパターンが多いように感じていました。3歳の12月になると、成長も古馬に追いついてきますし、この2キロ差は大きなアドバンテージです。
中山では得意不得意が分かれやすいと思います。ルーラーシップは以後3年連続で有馬記念に出ましたが、不器用なところもあって勝つことはできませんでした。対照的にヴィクトワールピサは器用で、乗り手の思ったように動ける子でした。その年の皐月賞や弥生賞も勝っていましたし、ジャパンCと比べても、よりチャンスがあると思ってはいました。
レースはミルコ任せでした。最内枠でスタートはあまり良くなかったですが、向正面でまくり気味に先頭に並んでいきました。そのまま引っかかってしまう馬もいますが、2番手で折り合いがついたのが大きかったと思います。やはり操作性の高さが生きました。結果として、翌年のドバイワールドCでも同じ競馬で勝ちましたし、将来につながるレースにもなりました。
今年は同じ3歳の皐月賞馬ミュージアムマイルが出走します。しかもリオンディーズ産駒です。エピファネイア産駒のダノンデサイルともども、注目していますし応援します。
■新厩舎1棟が来春完成予定
角居氏が営む珠洲ホースパークでは、被災から2年が過ぎようとしている。建設中の新厩舎2棟のうち1棟が来春に完成予定。敷地内には食堂併設のコミュニティー施設「鉢ケ崎みんなの憩いの場(仮称)」も建設される。角居氏は「今年はなかなか復興が進まない焦りもあり、悩みながらの1年でした。建物ができてくれば地域のシンボルにもなってくれると思いますし、ワクワクしています」と期待していた。




