昨季J1王者の鹿島アントラーズが「風の戦い」を制した。敵地浦和レッズ戦で、2点ビハインドから3-2で逆転勝ちを収め、首位に浮上。試合終了間際のMFアレクサンダル・チャブリッチ(31)の決勝点を含むセットプレー3発(PKで1得点)で沈めた。前半は風下で苦しみつつ、風向きの変わった後半はうまく活用して左右のCKから得点を奪った。5万人超が詰めかけ、真っ赤に染まった会場で伝統の勝負強さと地力を見せつけ、今後の戦いに弾みをつける3連勝を飾った。
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劇的勝利の裏に緻密な計算があった。PK戦がよぎる2-2の後半45分。左CKからMF柴崎のふわりと浮かせたキックに、少し遅れてジャンプしたチャブリッチが頭で合わせてネットを揺らした。「ものすごくいいボールが入ってきたので後は触るだけでした」と笑みを浮かべた。
同43分の右CKでキッカーを務めたが、直後の柴崎の投入により蹴り手が変更。直前に蹴った感触で追い風になっていることに気がつき、左CKでは「ボールがゆっくりになる」と予測。見事に的中し「本当は(相手)GK前に立つ役割だったが、知念選手がすでにいたのでとっさに役割を変えた」とさらなる機転が勝利に直結した。
前半は浦和ゴールから鹿島ゴール方向に強風が吹き、風下で苦しんだ。樋口は「なかなかうまく前進できなかった」と圧力を受けたことを認めた。それでも「焦る必要ない」とじれずに戦い、前半終了間際にレオセアラのPKからしぶとく1点返す。
後半は風向きが変わった。ホームスタンドからバックスタンド方向に流れるように。「結構風というのは影響したと思っていて、その中でもやるべきことをやり続けた結果がこうなった。崩れないというところは表現できたかな」と右CKからチーム2点目をアシストし、満足げに語った。
昨季J1を制した自信がブレない強さにつながる。5万人超の大アウェー、2点を追う展開でも試合巧者ぶりを発揮して試合をひっくり返した。開幕戦こそPK負けを喫したが気づけば3連勝で首位に。途中出場でヒーローとなったチャブリッチは「誰も満足することなく、自分たちでより上を、高みを目指してやれている」と勝利のメンタリティーを示した。【佐藤成】



